25年ぶり現場復帰！新任課長が最初の1か月で信頼を築き改善を進めた方法

「新任管理職は時間をもらえない」

現場に戻ったその日から、判断と行動を求められるのが製造現場のリアルです。

私は25年ぶりに出身現場へ課長として復帰し、まず耳を傾け、小さな改善から始めました。

この記事では、その背景と実践法をお伝えします。

25年ぶり現場復帰で見えた課題とチャンス

長い年月を経て現場に戻ると、環境も人も変わっています。

まずは復帰の背景と、直面した現場の課題を整理します。

復帰の背景と製造現場のリアルな課題

項目	説明
毎日が納期との戦い	製品品質の維持と納期遵守が最優先。改善や育成の時間が取りにくい。
設備・生産管理トラブル	突発的に発生し、計画を崩す要因。柔軟な判断と即対応力が必要。
多様な雇用形態	社員・パート・派遣を合わせて約45名。立場に応じた対応が求められる。
勤務形態の違い	日勤者と交代勤務者が混在。全員と同じタイミングで会えず、情報共有と信頼構築に工夫が必要。

現場の特徴とマネジメント上の難しさが明確になりました。

役員から託された“強い組織づくり”ミッション

製造現場は、製品品質の維持や顧客納期対応で日々の改善を行っているが、自己成長を感じられない場合が多い。
あなたには、メンバーの悩みを聞き、小さな改善を成功事例として積み上げてほしい。
そして、自己成長から組織成長へとつなげ、強い組織を作ってほしい。

新任課長が選んだ初動戦略は「小さな改善×信頼構築」

初動で重要なのは「大きな改革」ではなく「小さな接点」です。

当初は全員面談で現状把握をしようとしましたが…

区分	内容
初動で直面した現実	大きな改革より「小さな接点」が重要 毎日が納期との戦い 設備・生産管理トラブルで予定崩れ まとまった時間が取れない 現場は待ってくれず、次々に報連相が飛び込む 新任・異動直後でも即時の行動・判断を求められる
切り替えた方法	待つのではなく、自分から近づく 数分の立ち話で現場の声を拾う 本音を引き出し、信頼関係を築く

なぜ面談ではなく日常会話から始めたのか

区分	内容
効果	信頼関係が早く築ける 改善文化が根づきやすい 抵抗が少なく実行しやすい
理由	「この人は現場の味方だ」と感じてもらえる 小さな成功を日常化できる 大改革よりも即行動可能

信頼関係が改善の加速装置になる理由

信頼関係の深さは改善スピードを左右します。
日々の対話が「相談しやすい雰囲気」を作ります。

復帰直後に実践した4つの具体アクション

25年ぶりの現場復帰では、まず「形にできる行動」を優先しました。

大きな改革よりも、小さな一歩を重ねることで信頼関係を築き、改善の土台を作ることができます。

特に「聞く」「動く」「共有する」の3ステップで回し、改善サイクルを日常化しました。

ここでは、私が最初の1か月で取り組んだ4つの行動をご紹介します。

朝活掃除で現場との距離を縮める

現場復帰後、最初に始めたことの一つが「朝活掃除」です。
出勤時間より少し早く現場に入り、作業台や共用スペース、機械周辺の清掃をしています。

なぜ朝活掃除を始めたのか

• 現場の雰囲気づくり：1日のスタートを気持ちよく切るため
• 距離感を縮める：作業者と同じ空間で、同じ視点に立てる
• 観察の機会：作業エリアを回りながら、設備や部品の状態を自然に確認できる

掃除を通じて得られる効果

• 会話のきっかけになる
  「おはようございます」から始まり、世間話や業務の小さな悩みに発展することも多いです。
• 現場の変化に気づきやすい
  いつもと違う音や部品の置き方など、小さな異変に早く気づけます。
• “現場の味方”として見られる
  指示するだけでなく、一緒に動く姿勢が信頼感につながります。

ポイント

朝の短時間でも、積み重ねれば「清掃」という行動がコミュニケーションと改善の入り口になります。
掃除そのものが目的ではなく、「一緒に現場を良くしていく」というメッセージになるのです。

現場ヒアリングを習慣化する方法

区分	内容
改善項目	手順書レイアウト改善 部品置き場の動線見直し
ポイント	効果が出たらすぐに共有 達成感を全員で実感し、モチベーション向上

小規模改善を即シェアして全員の達成感に

区分	内容
改善項目	手順書レイアウト改善 部品置き場の動線見直し
ポイント	効果が出たらすぐに共有 達成感を全員で実感し、モチベーション向上

生産技術×営業経験で現場に新しい視点を提供

項目	内容
20年の改善ノウハウ	生産技術として培った改善力と技術力で、 現場課題を的確に解決。
5年の外部視点	法人営業で得た市場目線・顧客目線を活かし、 現場に新しい発想を提供。

これらを組み合わせ、「こういうやり方もありますよ」と提案ベースで新しい視点を共有。
あくまで選択肢として提示することで、相手が自分で選び、動ける環境を意識して作りました。

新任管理職に伝えたい3つの心得

最初の1か月で「3つの小さな改善成功」を目指しました。

ステップ	内容
小さく始める	まずは負担にならない範囲で改善をスタート。 現場がすぐ取り組めるテーマを選ぶ。
成功を共有する	効果が出たらすぐに共有。 全員で達成感を味わい、モチベーションを高める。
成長の流れをつくる	小さな改善の積み重ねを習慣化し、 チーム全体の成長サイクルを回す。

今日からできる信頼構築の一歩

最初から業務の話をせず、世間話から入るのがコツです。

1日1人5分の対話で改善の土台を作る

ステップ	内容
① 軽い話題からスタート	天気の話 趣味の話 最近の出来事 まずは相手が話しやすい空気をつくる。
② 本題に移る	「今一番やりづらいことは何？」 「こうなったらもっと楽になると思うことは？」 具体的な改善ポイントを自然に引き出す。

📌 この習慣が改善のスピードと質を変えます。

まとめ｜小さな改善が組織を強くする

現場では、管理職が動き出すのを待ってはくれません。

日々のトラブルや納期対応の中でも、自ら歩み寄り、短い時間でも対話を重ねることが信頼の第一歩です。

そして、その信頼を土台にした小さな改善が、やがて現場文化として根づき、強いチームを作ると思ってます。

今日からできる小さな一歩を、迷わず踏み出しましょう。

項目	内容
待つのではなく自分から動く	現場やメンバーに積極的にアプローチし、改善のきっかけを作る。
短い会話でも信頼は築ける	数分の立ち話でも、相手の本音や困りごとを引き出せる。
小さな改善を積み重ねて文化にする	日常的に改善を行う習慣を作り、組織全体の文化として根づかせる。