会議中に親から電話が鳴り止まない…。
足のケガから始まった母の介護は、手術や入院、要支援認定、さらには統合失調症の診断と精神科デイケア利用へと広がっていきました。
私は仕事と介護の板挟みに悩みながらも、住宅改修費の制度で手すりを設置し、IH導入や薬の一包化といった小さな工夫を積み重ねてきました。
🕒 介護と仕事の両立に至る時系列フロー
本記事では、その体験をもとに「介護と仕事を完璧に両立しなくてもいい」というヒントをお伝えします。
- 手すり設置(お風呂・廊下・トイレ・玄関)
- 段差解消など
- 統合失調症の診断
- 精神科入院・デイケア通院開始
- 会議中の電話対応
- 精神的負担の増加
結論:介護と仕事の両立に「完璧」はいらない

会議中に親から電話が鳴り響く――。
介護と仕事の板挟みは、同じ状況を経験した人でなければ分からない苦しさがあります。
私自身、製造業の現場で管理職を務めながら、母の介護に向き合っています。
そこで学んだのは、「完璧を求める必要はない」ということです。
小さな工夫の積み重ねが、仕事と介護を続けていく支えになるのです。
会議中に鳴るスマホと揺れる心

「母」からの着信。
重要な会議やトラブル対応の最中でも、容赦なくスマホは鳴ります。
不安からなのか、内容は「どうしたらいいの?」という曖昧なものが多い。
- 電話に出れば仕事が止まる
- 出なければ「母を放ってしまったのでは」と罪悪感に襲われる
介護の始まりは「足のケガ」から

母は車で10分ほどの場所に一人暮らしをしています。
最初のきっかけは「足のケガ」でした。手術と入院を経て、要支援1の認定を受けることになりました。
この頃から精神的にも不安定になり、精神科に入院したり、統合失調症と診断されてデイケアにも通うようになりました。
身体のケアだけでなく、心のケアも欠かせなくなっていったのです。
住環境の工夫:住宅改修費の支給で安心をつくる
母が退院して自宅に戻る際、私が最も心配したのは「家の中での転倒」でした。
そこで私は、介護保険の「住宅改修費の支給」制度を利用し、家のリフォームを行いました。
- お風呂、廊下、トイレ、玄関に 手すりを設置
- 段差を解消
- 滑りにくい床材へ変更
🏠 介護保険「住宅改修費の支給制度」まとめ
改修の種類 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
1. 手すりの取り付け | 廊下・浴室・トイレ・玄関などに設置 | 転倒防止、移動の安定 |
2. 段差の解消 | スロープ設置や敷居の段差取り除き | 車いす利用や歩行が楽に |
3. 床材の変更 | 滑りにくい床材へ変更 | 浴室・通路など |
4. 扉の取り替え | 開き戸 → 引き戸など | 開閉が楽になり衝突防止 |
5. 洋式便器等への交換 | 和式から洋式、向きの変更も対象 | 腰や足への負担軽減 |
6. 付帯工事 | 上記工事に伴う必要な工事 | 例:手すり取付のための下地補強 |
💰 支給内容
- 上限:20万円
- 自己負担:1割・2割・3割(要介護度や所得により決定)
- 使い方:1回で使い切らなくても分割利用可
- 再利用可能条件:
- 要介護度が3段階以上上がった場合
- 引っ越しした場合
実際に使ってみて感じたこと
- 手すりを設置したことで母の「安心感」が大きく変わった
- 私自身も「転んだらどうしよう」という不安が減り、仕事に集中しやすくなった
- 経済的な補助があり、金銭的負担も軽く済んだ
住まいの安全を整えることは、介護と仕事を両立するための大切な土台になりました。
📌 ポイント
- 工事着工前にケアマネジャーへ相談必須
- 市町村へ「事前申請」が必要
- 小規模な改修に特化した制度
料理好きの母に起きた変化と工夫

母は料理が大好きです。
しかし鍋を何度も焦がしてしまい、火の扱いに危険を感じるようになりました。
「好きなこと」を奪わずに安全を守る。
この小さな工夫が、母の生活と私の心の両方を支えてくれました。
- 台所をガスからIHに変更して火のリスクを減らす
- ヘルパーさんと一緒に料理をすることで安心感を持ってもらう
薬の管理は「一包化」で安心に

さらに大きな課題が薬の管理です。
母は複数の病院に通院しており、処方される薬の数も多くなっています。
しかし認知機能の低下により、飲み忘れや、逆に多く飲んでしまうことも増えてしまいました。
そこで医師に相談し、調剤薬局で一包化をお願いしました。
朝・昼・晩ごとに薬を袋にまとめてもらうことで、母にとっても私にとっても管理がしやすくなり、大きな安心につながりました。
薬の管理は小さなことのようですが、介護者にとってはストレスを大きく減らす効果があります。
仕事との板挟みにどう向き合うか

工夫をしても「会議中の着信」はなくなりません。
それでも私は、次のようなルールを持つようにしました。
・会議中は原則出ない。ただし、短時間に何度も着信がある場合は出る
・職場に事前共有し、重要な電話が入る可能性を説明しておく
・介護サービスやツールを活用し、一人で抱え込まない
完璧を目指すのではなく、「割り切り」と「工夫」で板挟みを乗り越えるようにしています。
まとめ:同じ状況にいる人へ

介護と仕事の両立は、誰にとっても簡単ではありません。
「仕事を優先すると罪悪感」「介護を優先すると責任感」――その間で揺れ続けることも多いでしょう。
それでも大切なのは、完璧を求めないことです。
こうした小さな工夫が、介護と仕事を続ける大きな力になります。
もし同じように悩んでいる方がいれば、まずは「ひとつだけ工夫を取り入れる」ことから始めてみてください。
その一歩が、仕事と介護を無理なく両立する支えになるはずです。
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