製造業でわかる!KGI・KPI・限界利益・変動費・売上とは

〜現場の数字を「経営の視点」で理解しよう〜

近年、製造業の現場でも「KPI」「限界利益」といった経営用語を耳にする機会が増えました。
しかし、「正直よく聞くけど意味はあいまい」という方も多いのではないでしょうか。

数字を理解することは、単なる経理の話ではなく、現場改善・利益確保・人材育成にも直結する大切な力です。
この記事では、現場に関わるすべての方が“自分の仕事が会社の利益にどうつながるか”をイメージできるように、
製造業の実例を使って「KGI・KPI・限界利益・変動費・売上」をやさしく解説します。


🔍 この記事で分かること

理解できるポイント内容
✅ KGIとKPIの違いゴールと道しるべの関係を具体的に理解できる
✅ 売上・変動費・限界利益の関係利益構造が図でわかる
✅ 損益分岐点の考え方黒字と赤字の境界が数値で見える
✅ 現場の数字の意味不良率・稼働率・段取り時間が利益にどう影響するか
✅ 改善活動の方向性数字を根拠にしたKPI設定方法がわかる
この記事の目次(クリックでジャンプ)

売上とは?(工場が生み出す“お金の入口”)

売上は、会社の“血流”とも言われるほど重要な数字です。
生産や営業、すべての活動はこの売上を生み出すためにあります。
まずは、売上がどのように計算され、何を意味するのかを見ていきましょう。

「売上」とは、お客様に納品した製品やサービスで得たお金の合計です。

製造部門は直接売上を得る部署ではなくても、
「品質・納期・生産性」すべてが売上を支える要素になっています。

変動費とは?(作った分だけ増えるコスト)

「たくさん作れば儲かる」は正しいようで、実は半分だけ正解です。
なぜなら、作れば作るほど増える“変動費”があるからです。
ここでは、変動費の正体と、どう管理すれば利益を守れるかを解説します。

変動費とは、生産量の増減に合わせて増える費用のことです。

製造業での例

項目内容
材料費部品・基板・消耗材など
外注加工費メッキ、塗装、組立など
エネルギー費稼働時間に比例する電力費
輸送費出荷量に比例して発生
歩合制人件費生産量に応じて変動

変動費の関係

不良やロスを減らせば、同じ売上でも利益が増えるという点がポイントです。

限界利益とは?(会社に残る力を測る数字)

「利益が出ているのか、出ていないのか」を判断するためのカギが限界利益です。
現場でよく使う“歩留まり”“不良率”といった数字も、この考え方とつながっています。

限界利益は、売上から変動費を引いた残りです。
会社に残る「もうけのタネ」ともいえます。

限界利益 = 売上 − 変動費

項目金額(1台あたり)
売価10,000円
変動費6,000円
限界利益4,000円

この4,000円で固定費をまかない、残った分が最終的な利益になります。

限界利益の構造

限界利益が高いほど、少ない生産量でも黒字になりやすい会社になります。

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固定費とは?(毎月必ずかかるベースコスト)

「生産数が減っても同じように出ていくお金」。
それが固定費です。削減のしやすい変動費とは違い、管理や改善が必要な“重たいコスト”です。

主な固定費

費用項目内容
人件費正社員、間接部門の給与
設備費減価償却費・リース料
工場維持費家賃、保険、清掃、通信費
共通光熱費基本電力・上下水道基本料金

固定費を下げる改善(省エネ、自動化、稼働時間の最適化)は、
限界利益を増やすのと同じくらい効果があります。

損益分岐点を製造業で考える(赤字と黒字の境目)

「あと何台作れば黒字になるのか?」
経営層だけでなく、現場でもこの“損益分岐点”を理解しておくと、日々の改善活動の目的が明確になります。

計算例

項目内容
売価10,000円/台
変動費6,000円/台
限界利益4,000円/台
固定費800万円/月

損益分岐点販売数量 = 800万円 ÷ 4,000円 = 2,000台

損益分岐点の考え方

この「黒字ライン」が明確に見えると、
生産計画やコスト削減の効果を数字で実感できます。

KGIとは?(製造部門のゴールを数値化する)

「頑張る」だけではチームは動けません。
何をどこまでやれば“成功”なのかを数字で示すのがKGIです。
製造現場でも「見えるゴール」を持つことが大切です。

KGI(Key Goal Indicator)は、最終的な成果を示す指標です。

製造業のKGI例

目標の種類数値例
生産量年間24万台を達成
品質歩留まり95%以上
経済性月間限界利益1,000万円
コスト残業削減で人件費10%カット

KGIは「どこまでいけば成功なのか」を明確にします。
このゴールを共有することで、全員が同じ方向を向くことができます。

KPIとは?(ゴールまでの行動を数値で追う)

KPIは「KGIを達成するための道しるべ」です。
現場ではKPIを小さく設定し、毎日確認することで“改善を続ける力”になります。

KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するための中間目標です。

製造現場でのKPI例

KGI対応するKPI
歩留まり95%維持不良率2%未満・チョコ停20回以下
月間限界利益1,000万円材料ロス1%削減・稼働率90%維持
残業10%削減段取り時間20%短縮・多能工化推進

KPIを継続的にモニタリングすることで、
「改善の方向性」と「効果の見える化」が両立します。

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製造業のKGI・KPI・限界利益の関係図

ここまで出てきた数字のつながりを整理してみましょう。
どの数字がどこに影響しているかを理解すると、改善の目的がよりはっきり見えてきます。

数字のつながり(製造業版)

「歩留まり改善」「段取り短縮」「省エネ」などの活動は、
すべてこの構造のどこかを良くするための取り組みです。

製造業におけるKGI・KPIの実例まとめ

実際の現場では、どのようにKGIとKPIを設定すればよいのでしょうか?
ここでは、製造業の代表的な例を一覧にして整理します。

指標区分内容具体例
KGI最終目標年間生産24万台・歩留まり95%・月間限界利益1,000万円
KPI中間指標不良率2%未満・チョコ停20回以下・稼働率90%
KSF成功要因教育強化・設備保全・材料ロス低減
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まとめ:数字で考えると現場が変わる

数字は難しいものではありません。
「どれだけ作ったか」「どれだけ無駄が減ったか」を数値で見える化すれば、
現場の努力が成果として実感できるようになります。

用語意味役割
売上製品を売って得たお金会社の血流
変動費作った分だけ増える費用利益を圧迫する要素
限界利益売上 − 変動費黒字化の原動力
固定費毎月必ず発生する費用経営の土台
KGI最終目標成果のゴール
KPI中間指標行動の道しるべ

数字を理解することは、「経営感覚を持った現場づくり」につながります。
数字で考える現場は、強い現場です。

チームで取り組む最初の一歩

あなたのチームでも、まずは「不良率」「稼働率」「段取り時間」など、
日々の改善活動に直結するKPIを設定してみましょう。

それを少しずつ積み上げていけば、
自然とKGI(工場全体の目標)が見えてきます。

つまり、小さな数字の改善が、大きな成果につながるということです。

最後に:数字は「上から降りてくるもの」ではない

KGIやKPI、限界利益といった言葉は、
本来は経営層だけが使う数字ではありません。

それぞれの現場が、
「この数値を自分たちで改善したい」と考え、
現場発のKPIとして動き出すと、会社全体の利益体質が一気に強くなります。

数字は、“現場の知恵”を可視化するための共通言語です。
あなたのチームでも、ぜひ明日から一歩踏み出してみてください。

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この記事を書いた人

現場・生産技術・法人営業・マネジメントを経験。
机上の空論ではなく「現場で役立つ知見」を発信。
・昇格したばかりの課長としての奮闘記
・現場改善・AI活用の実践例
・人間関係・キャリアの悩みへの具体的な解決策
・介護と仕事の両立経験からのリアルなヒント

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