管理職を辞めたいと思ったら|向いてないと感じる40代・50代へ

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「管理職、辞めたい」——そう検索してこのページにたどり着いたのだと思います。

先に、私自身のことを書きます。私は今も現役の課長ですが、辞めたいと常に思っています。「これで良いのか」と葛藤しながら、それでも続けています。

管理職は、外からは「何もしていない」ように見えます。実際は裏で動き続けていて、しかもその内容は言えないものばかりです。誰にも説明できないまま抱えるあの感じを、同じ立場の人になら分かってもらえると思います。

転職サイトの記事は「辞めたいなら動きましょう」と背中を押してきます。でも実際は、辞めたい気持ちを抱えたまま続けている管理職のほうが、はるかに多いはずです。この記事は、その立場から書きます。

この記事でわかること

✅ 「辞めたい」と思い続けたまま続けていい、という選択肢
✅ 管理職が「向いてない」と感じる典型的な4つの場面
✅ 能力不足だと感じるのは、実は能力の問題ではないこと
✅ 「現場に戻りたい」と思うのは逃げではない、という話
✅ プレーヤーとして強い人ほどハマる、部下との関わりの罠
✅ 私が辞めずに続けている、2つの現実的な理由

なお、この記事はすでに管理職になった人に向けて書いています。まだなっていなくて「そもそもなりたくない」と思っている段階なら、別の記事のほうが近いと思います。推薦は本人の知らないところで進んでいる、という話です。

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結論:辞めたいと思ったまま続けても構わない

いきなり結論を書きます。「辞めたい」と思うこと自体は、辞めるべきサインではありません。

多くの記事は「辞めたい=限界」「辞めたい=転職の合図」と書きます。しかし私の実感は違います。管理職をやっていれば、辞めたいと思うのが普通です。思わない人のほうが少ないのではないでしょうか。

私は製造業で35年働いてきて、25年ぶりに現場へ戻って課長になりました。それから今まで、ずっと「これで良いのか」と思い続けています。迷いが消えたことは一度もありません。

大事なのは、その気持ちを「異常なこと」だと思わないことです。葛藤したまま続けている人は、あなたが思っているよりずっと多くいます。

「向いてない」と感じる4つの場面

管理職が「自分は向いていない」と感じるのは、だいたい次の4つの場面です。どれも能力の問題ではなく、役割の構造上、避けられないものです。

場面なぜそう感じるのか
板挟みになったとき上からは数字、下からは不満。どちらの側にも立てないのが管理職の立ち位置
部下が動いてくれないとき自分でやれば5分で終わる。でもそれをやると育たない。その葛藤が延々と続く
成果が自分のものにならないときプレイヤー時代は成果が見えた。管理職はうまくいって当たり前、失敗すると自分の責任
相談相手がいないとき部下には弱音を吐けない。上司には評価される。本音を話す相手が社内にいない

「何もしていない」と思われる——これが一番こたえる

4つの場面のどれよりも、じわじわ効いてくるのがこれです。

管理職は「何もしていない」と思われがちです。現場から見れば、机に向かっているか、会議に出ているか、どこかに行っているか。手を動かしていないので、そう見えます。

でも実際は、裏で常に動いています。そして厄介なことに、その内容は言えないものばかりです。

  • 人の処遇や評価に関わる話
  • まだ確定していない、組織や体制の変更
  • 顧客や取引先とのやり取りで、途中経過を出せないもの
  • 誰かをかばうために、黙って引き受けたこと

言えば楽になるのに、言えない。「あの人は何をやっているんだ」と思われながら、説明しないまま動き続ける——これが管理職の日常です。

評価されないことより、「説明できないまま誤解される」ことのほうがきつい。ここが分かってもらえないのが、管理職の孤独の本体だと思います。

4つ目が、いわゆる管理職の孤独です。これは性格の問題ではなく、役職がそういう位置にあるというだけの話です。

「能力不足」だと感じるのは、能力の問題ではない

「管理職 能力不足」で検索する人が一定数います。私も同じことを考えたことがあります。ただ、周りを見ていて思うのは、能力が足りなくて詰んでいる管理職は、実はほとんどいないということです。

本当に起きているのは、たいてい次のどれかです。

  • 誰も教えてくれなかった——管理職の仕事を体系的に習う機会が、日本の製造業にはほぼありません
  • 比較対象が前任者しかいない——タイプの違う人と比べて落ち込んでいるだけのことが多い
  • 評価されるまでの時間が長い——現場改善の成果が出るには年単位かかります。その間は手応えがない

つまり能力ではなく、教わっていないことと、時間軸の問題です。ここを分けて考えるだけで、少し楽になります。

ちなみに私は、この「教わっていない」を埋めるためにQC検定3級を受けました。40代で、しかも一度落ちています。資格そのものより「データで語れるようになったこと」のほうが、現場で効きました。
QC検定3級の裏ワザは「捨てる」|一度落ちて受かった現場課長の勉強法

正直に言うと、現場に戻りたいと思うこともある

もうひとつ、本音を書きます。作業員に戻れるなら戻りたい——そう思うことが、今でもあります。

現場にいた頃は、やることがはっきりしていました。手を動かせば形になるし、良いものを作れば「良い」と分かる。終業時に「今日はこれをやった」と言える。

管理職になると、それがなくなります。1日中動き回っても、手元には何も残らない日がある。「今日は何をしたんだろう」と思いながら帰る日が、正直あります。

現場作業管理職
成果その日のうちに形になる年単位で、しかも見えにくい
評価作ったものが評価うまくいって当たり前
気持ちの区切り終業でつく持ち帰ってしまう

それに、プレーヤーとしてなら負けないという自負があります。30年やってきた技術と勘は、そう簡単に誰かに追い抜かれるものではありません。

ここが管理職のややこしいところで、自分が一番できる領域から、わざわざ離れさせられているわけです。得意なことをやれば結果が出ると分かっているのに、それをやってはいけない立場にいる。「向いてない」と感じる正体の半分は、これだと思います。

だから「戻りたい」と思うのは、逃げでも甘えでもありません。手応えのある仕事が恋しいというだけの話です。管理職を経験した人なら、たいてい一度は思うはずです。

世の中は「昇進=正解」という前提で話をします。でも現場が向いている人は確実にいますし、それは能力が低いということではまったくありません。役割が違うだけです。

プレーヤーとして強い人ほど、部下の話を聞けなくなる

ここが、自分でも一番気をつけているところです。

自分ができてしまうと、「なぜこれができないんだ」と思ってしまいます。悪気なく、本当に不思議に思ってしまう。プレーヤーとして結果を出してきた人ほど、この罠にはまります。

でも現場に立ってみると、部下は本当にさまざまです。

タイプ関わり方
できるプレーヤー任せる。細かく口を出すと、かえって伸びが止まる
私の感覚が分かるプレーヤー一番ありがたい存在。ただし頼りすぎないよう意識する
仕事ができないプレーヤーここが管理職の本当の仕事。同じやり方は通用しない

自分の基準で測ってしまうと、ほとんどの部下が「できない」に見えます。それをやると、現場は一気に萎縮します。私が経験してきた「できない」は、私の物差しでの話でしかありません。

だから私は、部下の話を聞くことを一番重要視しています。

できていない人には、必ず理由があります。手順が分かっていないのか、道具が合っていないのか、そもそも何を求められているか伝わっていないのか。聞かないと、そこが分かりません。「なぜできない」と責めても、原因は出てきません。

プレーヤーとしての腕は、管理職になるとそのままでは使えません。使い道は「自分でやる」ことではなく、「聞いたときに、何が起きているか分かる」ことのほうにあります。ここに気づいてから、少し楽になりました。

具体的な関わり方は、別記事にも書いています。
部下の提案を否定しない!信頼を築く受け止め方のコツ
仕事ができない部下への対応|見切る前に確認すべき3タイプ
新人教育がしんどい・丸投げされたときの考え方

管理職の孤独は、一人でいることではありません

「管理職は孤独だ」とよく言われます。ただ、その中身は、たいてい誤解されています。

昼休みに部下たちが連れ立って出ていく。飲み会に呼ばれなくなる。そういう寂しさの話ではありません。

本当の孤独は、みんなと違う判断をしなければならないときに来ます。

現場は「やりたくない」と言う。その気持ちも分かります。私も現場にいたので、なぜ嫌なのかは手に取るように分かる。それでも、やらなければならないと分かっている。

その差を、一人で引き受けることになります。これが孤独です。

なぜ、違う判断になるのか。理由ははっきりしています。

多数決が正しいとは限らないからです。

いま全員が納得する判断と、3年後に正しかった判断は、違うことがあります。変えなければならないとき、最初は必ず少数派になります。誰も賛成しない中で決めるので、当然、孤立します。

ただし、ここからが大事です。

「周りが分かっていないだけだ」と思った瞬間に、ただの独りよがりになります。

本当に自分のほうが間違っていることも、あります。そして厄介なことに、「先を見ている」と「思い込んでいる」は、自分では区別がつきません。

だから、話せる相手が要るんです。

相談相手は、下ではなく上に見つける

この手の記事を読むと、たいてい「部下と1on1をしましょう」「メンバーと話す時間を作りましょう」と書いてあります。私の実感では、逆でした。

部下には相談できません。判断の重さを、背負わせることになるからです。「課長も迷っているのか」と思わせた時点で、現場が不安になります。

では誰に話すのか。直属の上司も、実は言いにくいです。さっき書いたとおり、自分を評価する相手だからです。

私が話していたのは、もっと上の——自分の評価に直接関わらない立場の人でした。評価されない相手だからこそ、本音が言えます。

そして、これが実際に効いたやり方です。

正式に「相談があります」とは言いませんでした。雑談の中で話しました。

場を作ると、重くなります。「お時間いただけますか」と切り出した時点で、相手も構えるし、自分も言いにくくなる。流れの中でこぼすほうが、話せます。

そして相手も、構えていないぶん本音で返してくれます。

それでも理解されないときは

「わかっていない」と言われたこともあります。

その場で反論しても伝わらないので、黙って引き受けました。言い返して勝っても、何も進まないからです。

ただし、これは「耐えろ」という話ではありません。

耐えるべき場面と、耐えなくていい場面があります。理解されないまま続けることと、心と体が壊れるまで続けることは、まったく別の話です。その線引きについては、このあとに書きます。

それでも私が辞めない、2つの理由

綺麗事を書くつもりはないので、正直に2つ挙げます。

① 生活のため

まずこれです。自分の生活があります。ここを飛ばして志だけを語る記事は信用しないでください。管理職を降りれば収入は下がりますし、転職すれば環境が変わります。それを引き受けられるかどうかは、生活の話です。

② この会社を次の世代に引き渡したい

もうひとつは、こちらです。35年勤めていると、会社に愛着が湧くんですよね。

自分が入った頃の先輩たちが作ってきたものを、次の世代に渡したい。そう思うから、辞めたいと思いながらも続けています。これは損得ではありません。

辞めない理由は、立派である必要はありません。「生活のため」と「愛着」——この2つで十分に理由になります。

それでも本当に限界なら、動いていい

ここまで「辞めたいと思ったまま続けてもいい」と書いてきましたが、例外があります。

  • 眠れない、食べられないなど体に出ている
  • 家族に影響が出ている
  • 会社の側に構造的な問題がある(人員が明らかに足りない、パワハラが放置されている等)

これらに当てはまるなら、話は別です。我慢は美徳ではありません。まず産業医や社内の相談窓口を使ってください。それでも変わらないなら、外を見るのは正当な判断です。

製造業の求人を見ておくだけでも、「いざとなれば動ける」と分かって気持ちが軽くなることがあります。実際に動くかどうかは、後で決めれば構いません。

採用する側から見た「受かる人・落ちる人」の違いは、こちらにまとめました。
製造業の転職ガイド|採用する側の課長が本音で解説

交代勤務を組む側の事情と、続けるための考え方はこちらに書きました。
交代勤務はなぜきついのか|シフトを組む側の管理職が正直に書く

なお、辞めたいと思うかどうかとは別に、役職定年という形で立場が変わる日も来ます。取引先でそれを迎えた方に会って考えたことを、役職定年はつらいのかにまとめました。

それから、辞めたあとに「戻りたい」と思う人もいます。実際に戻ってきた方も見ています。辞め方によって、その道が残るかどうかが変わります。受け入れる側から見た話は出戻り転職はできる。ただし同じ椅子とは限らないに書きました。

いま管理職を辞めたいと感じている方とは逆に、これから上がろうとして通らなかった方もいます。推薦する側から見た「落ちる理由」は、こちらに書きました。

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葛藤したままでいい

最後に、もう一度書きます。

私は今も「辞めたい」と思っていますし、「これで良いのか」と葛藤しています。それでも明日も現場に行きます。迷いが消えるのを待つ必要はありません。迷ったまま続けることは、負けではありません。

同じことを考えている管理職は、あなたの職場にもきっといます。ただ、みんな言わないだけです。

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この記事を書いた人

現場・生産技術・法人営業・マネジメントを経験。
机上の空論ではなく「現場で役立つ知見」を発信。
・昇格したばかりの課長としての奮闘記
・現場改善・AI活用の実践例
・人間関係・キャリアの悩みへの具体的な解決策
・介護と仕事の両立経験からのリアルなヒント

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