交代勤務はなぜきつい?10年経験しシフトを組む側になった本音

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「交代勤務 頭おかしい」——そう検索する人が、毎月かなりの数います。

最初に立場を明かします。私はシフトを組む側の管理職ですが、その前に10年間、自分が交代勤務をしていました。組む側と入る側、両方を経験しています。

そのうえで書きますが、交代勤務がきついのは事実です。組んでいる私自身がそう思っています。

この記事は「慣れれば大丈夫」とは言いません。なぜ会社が交代勤務をやめないのか、シフトを組む側が何を考えているのかを、隠さずに書きます。読んだうえで、続けるか離れるかを決めてもらえればと思います。

この記事でわかること

✅ 会社が交代勤務をやめられない、身も蓋もない理由
✅ シフトを組む側が本当に苦労していること
✅ 突発の休みが出たとき、管理職に何ができて何ができないか
✅ 夜勤の回数が偏っていると感じたときの、確認のしかた
✅ 「自動化すれば交代勤務はなくなるのか」への現場からの答え
✅ きつさの裏返しにある「平日が自由に使える」という利点
✅ 交代勤務を長く続けるための「80%で回す」という考え方

この記事の目次(クリックでジャンプ)

「頭おかしい」と言いたくなるのは、たぶん正しい

まず否定しません。生活のリズムが壊れるのは、気のせいでも根性の問題でもありません。夜勤と日勤を行き来すれば体内時計は乱れますし、休日が世間とずれれば家族や友人と時間が合わなくなります。

それを管理側も分かっています。分かったうえで組んでいます。ここを「慣れの問題」で片付ける記事が多いですが、私はそうは思いません。

では、なぜ会社は交代勤務をやめないのか

理由は、正直に言えばひとつです。設備を止めたくないからです。

実装ラインの設備は高額です。買った瞬間から減価償却費という固定費が発生し、これは動かしても止めても同じだけかかります。1日8時間しか動かさなければ、残り16時間ぶんの償却費は、何も生まないまま消えていきます。

1直(日勤のみ)2直・3直(交代勤務)
設備の稼働時間1日8時間16〜24時間
減価償却費どちらも同額
製品1個あたりの設備コスト高い2〜3分の1になる

つまり稼働時間を増やして生産量を増やさないと、設備の元が取れない——これが交代勤務が存在する理由のほぼすべてです。「人手が足りないから」でも「昔からの慣習」でもありません。お金の計算です。

身も蓋もない話ですが、これを知らないまま「なぜ自分がこんな思いを」と考え続けるより、構造として理解しておくほうが気持ちの整理はつきます。あなたの我慢が足りないのではなく、設備投資の回収という会社の都合です。

設備投資の判断そのものについては、別記事に書いています。
基板実装の設備投資ガイド|失敗しない進め方と判断ポイント

自動化すれば交代勤務はなくなるのか

ここまで読んで、こう思った方がいるはずです。「完全自動化すれば、人が夜中に働く必要はないのでは」——理屈としてはその通りです。

ただ、現場の実態は違います。その装置を動かすのは人間です。

実装ラインは自動機の塊です。印刷機もマウンターもリフロー炉も、ボタンを押せば動きます。それでも同じ設備・同じ製品でも、担当する人によって成果はまったく変わります。

場面人によって差が出るところ
段取り替え同じ機種でも、かかる時間が倍以上違う
条件出し印刷やリフローの条件を、どこまで詰められるか
異常の察知「いつもと少し違う」に気づけるか。装置は正常判定でも不良は出る
復旧止まったときに、原因を切り分けて戻せるか

現場を知らない方の中には、「自動化すれば全部自動で、人の介在はいらない」と思い込んでいる人がいるのも事実です。しかし装置は、与えられた条件どおりに動くだけです。その条件を決めるのも、狂いに気づくのも人間です。

「人が入ればすぐ生産できる」も、大きな間違い

もうひとつ、同じ根っこの誤解があります。「人員を増やせば、その分すぐ生産量が増える」という考え方です。

これも違います。入ったばかりの人は、まず戦力になりません。装置の操作を覚え、異常の見分けがつくようになり、一人で判断できるまでには時間がかかります。

それどころか、教える側の手が取られるぶん、短期的にはラインの能力は落ちます。人を入れた月に生産が上がることは、まずありません。

だから「人が足りないなら採ればいい」「欠員が出たら補充すればいい」という話には、必ず育つまでの期間が抜け落ちています。シフトを組む側が技能配置にこだわるのは、このためです。

結局のところ、スキル・技術・経験がものを言います。装置がどれだけ進化しても、「人の能力で装置の成果が変わる」——これが現状であり、今後もこの方向は変わらないと私は思っています。
裏返せば、夜勤で装置を守っている人の仕事には、置き換えのきかない価値があるということです。その積み重ねは、誰にも取られません。

ベテランの判断をどう次の世代へ渡すかは、別記事に書いています。
ベテランの勘をAIで可視化!SMT現場の技術継承と人材育成

シフトを組む側が、本当に苦労していること

「人数を埋めるだけだろう」と思われがちですが、実際に難しいのはそこではありません。安全・公平性・本人の納得感を、同時に成立させることです。

① 人数がそろっても、技能が偏ると勤務は成立しない

SMTの現場なら、段取り替え・印刷・実装機・リフロー・検査・トラブル対応の経験者を、各直に配置する必要があります。5人いても、設備を復旧できる人がいない夜勤は、止まった瞬間に終わりです。

役割担当範囲
班長異常判断・顧客品質対応
印刷印刷機・メタルマスク・はんだペースト管理
実装マウンター段取り・部品供給・設備復旧
リフロー温度プロファイル・炉内異常対応
検査AOI・外観検査・初品確認・記録管理

人を先に埋めるのではなく、先に必要な技能を置いて、そこに人を割り当てる——これが順番です。だから「その日空いている人」で埋めるわけにいきません。

② チームごとにレベル差が出ないようにする

私が一番気を遣うのはここです。人間関係と、チームごとの実力差が出ないようにすること。

できる人を1つの直に集めれば、その直は楽に回ります。しかし裏返せば、もう一方の直がきつくなります。「あの班は当たり、この班はハズレ」という空気ができると、不満は勤務表ではなく人間関係に向かいます。

だからベテランを分散させ、新人だけの勤務帯は作らず、夜勤は「経験者+育成対象者」の組み合わせを基本にします。特定のベテランに夜勤とトラブル対応が集中しないよう、月単位で回します。

③ 全員の希望は、絶対に通せない

子育て、通院、家族の介護、通勤事情。事情は人それぞれです。ただ、全員の希望を優先すると、その分が必ず別の誰かの夜勤や休日出勤になります。

ここで調整役が板挟みになります。完全な平等は不可能です。できるのは「誰に何回夜勤があるか」「前回と比べてどうか」を説明できる状態にしておくことだけです。

突発の休みが出たとき、管理職にできること

ここは正直に書きます。突発の休みが出たら、ラインを止めるしかありません。

技能を持った代替者がその場にいなければ、無理に動かすほうが危険です。品質不良を出すか、事故につながります。「誰でもいいから入れる」ができないのが、技能が要る現場の現実です。

そして、休んだ本人に対して私ができることは、話を聞くことしかありません。

体調を崩した人に「なぜ休んだ」と責めても何も生まれませんし、シフトを根本から変える権限も、その場にはありません。だから聞きます。眠れていないのか、切り替えがきついのか、家庭の事情なのか。原因が分かれば、次のシフトで打てる手が変わります。

もしあなたが交代勤務でつらい状態なら、限界になる前に上司に話してください。「話を聞くことしかできない」と書きましたが、逆に言えば聞かなければ何も手を打てません。黙って耐えている人の存在は、勤務表の上では見えないのです。

夜勤が偏っていると感じたら、こう聞いていい

「自分だけ夜勤が多い気がする」——この不満は、実際に多いです。そして感覚が正しいこともあれば、そうでないこともあります。

確認したいときは、感情ではなく数字で聞くのが有効です。まともな管理者なら、次の質問には答えられるはずです。

  • 今月の夜勤回数は、自分と他の人でどれくらい差がありますか
  • 前月・前々月も含めると、累積でどうなっていますか
  • 土日・祝日の夜勤は、どう配分していますか

特に累積で見ることが大事です。月単位では公平でも、月末に夜勤が集中すると、3か月で見ると特定の人に偏っていることがあります。組む側もここを見落とします。

逆に、説明できない管理者なら、そのシフトは感覚で組まれています。それは聞く価値のある指摘です。

きついだけではない|平日が自由に使えるという利点

ここまで厳しい面ばかり書いてきましたが、交代勤務にははっきりした利点もあります。これは10年やった実感です。

最大の利点は、平日の時間を有効に使えることです。世間が働いている時間に動けるというのは、実際にやってみると想像以上に大きいものがあります。

できること土日勤務の人との違い
役所・銀行・病院休みを取らずに済む。土日しか動けない人は毎回半休が要る
買い物・外食どこも空いている。並ばない
旅行・レジャー宿も施設も平日料金で安く、混雑もない
子どもの行事・家族対応平日昼間の用事に動ける
資格の勉強・自己投資まとまった時間を平日に確保できる

とくに平日休みが当たったときのメリットは大きいです。世間の休日とずれるデメリットばかり語られますが、ずれているからこそ得られるものもあるというのが実際のところです。

もうひとつ、半日休暇の使い勝手が良いのも見逃せません。勤務が日勤・夜勤に分かれているぶん、半休を組み合わせると実質的にかなり長い自由時間が作れます。用事を片付けるのに丸一日休む必要がなく、有給を無駄にせずに済みます。

きつさは事実ですが、それだけで判断すると見落とすものがあります。平日の時間をどう使うかを決めておくと、交代勤務は「損な働き方」ではなくなります。

続けるコツは「80%で回す」こと

ここまで厳しい話が続いたので、私自身が実践している考え方を書きます。

普段は80%の力で業務を行い、いざという時に100%を出せばいい——私はそう思っています。

これは手を抜くという意味ではありません。交代勤務の現場では、突発のトラブルが必ず起きるからです。設備が止まる、欠員が出る、不良が流出しかける。そのときに動ける余力を残しておかないと、現場は本当に止まります。

常に100%で回す普段は80%
平常時回る回る
トラブル発生時出せる力が残っていない100%まで上げられる
1人休んだときその瞬間に崩れる吸収できる
長期先に体が壊れる続けられる

組む側から見ても同じです。全員が100%で回っているラインは、一見すると効率が良さそうに見えますが、誰か1人が休んだ瞬間に崩壊します。余力のない現場は、強いのではなく脆いのです。

交代勤務は短距離走ではありません。毎日100%を出そうとする人ほど、先に潰れます。80%で長く走れる人のほうが、結果的に現場に貢献しています。

それでも限界なら、離れていい

ここまで管理側の事情を書いてきましたが、「だから我慢しろ」と言うつもりは一切ありません。

次のような状態なら、続けることを優先すべきではありません。

  • 休みの日も眠れない、寝ても回復しない
  • 気分の落ち込みが続いている
  • 家族との関係に影響が出ている
  • 人員が明らかに足りず、改善の見込みがない

体調面は、まず産業医や医療機関に相談してください。交代勤務による睡眠の問題は、根性でどうにかするものではありません。そのうえで職場が変わらないなら、日勤の職場に移るのは正当な判断です。

日勤のみの求人がどれくらいあるのかは、実際に見てみないと分かりません。すぐ動かなくても、選択肢があると知るだけで気持ちが軽くなります。

製造業の中でも日勤のみの職種はあります。採用する側から見た話は、こちらにまとめました。
製造業の転職ガイド|採用する側の課長が本音で解説

最後に|交代勤務をしている方へ

管理側の事情ばかり書いてきたので、最後に一番言いたいことを書きます。

私は、交代勤務をしている方を尊敬していますし、頼りにしています。

これは気休めで言っているのではありません。夜勤帯は人が少なく、判断を仰げる相手もいません。そのなかで装置を守り、異常に気づき、朝までラインをつないでいる——その事実を、シフトを組む側は毎日見ています。

そして現場で見ていて思うのは、交代勤務を経験した人には、将来有望な方が多いということです。少人数で回すぶん、自分で考えて動く力がつきます。トラブル対応の場数も踏んでいます。

これは印象論ではありません。私の会社の工場で出世している人は、交代勤務の経験者が圧倒的に多いのが事実です。私自身も10年間、交代勤務をしていました。

理由ははっきりしています。夜勤帯は聞ける相手がいないので、自分で判断するしかありません。その経験を何年も積んだ人と、常に誰かに確認できる環境しか知らない人とでは、いざというときの動きがまるで違います。

この先、会社を支える立場になっていくのは、こういう人たちだと思っています。今きついと感じている時間は、確実に何かを積み上げています。

だからこそ、体を壊してまで続けてほしくはありません。限界を感じたら休んでください。それも含めて、長く現場にいてもらうことのほうが、私たちには価値があります。

まとめ

  • 会社が交代勤務をやめないのは設備の減価償却を回収するため。あなたの我慢の問題ではない
  • 組む側は技能配置とチーム間のレベル差に一番気を遣っている
  • 突発の休みはラインを止めるしかない。責める話ではない
  • 偏りを感じたら累積の夜勤回数を聞いてよい
  • 限界なら離れていい。体調を壊してからでは遅い
  • 組む側は、交代勤務をしている人を頼りにしている。その経験は必ず力になる

管理職の側もラクではありません。私自身、辞めたいと思いながら続けています。
管理職を辞めたいと思ったら|向いてないと感じる40代・50代へ

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この記事を書いた人

現場・生産技術・法人営業・マネジメントを経験。
机上の空論ではなく「現場で役立つ知見」を発信。
・昇格したばかりの課長としての奮闘記
・現場改善・AI活用の実践例
・人間関係・キャリアの悩みへの具体的な解決策
・介護と仕事の両立経験からのリアルなヒント

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