異動したくない人へ|社内異動7回、いま異動を伝える側の課長の本音

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異動したくない人へ 社内異動7回 いま異動を伝える側の課長の本音

「異動の話が来た。正直、行きたくない」

そう思ってこのページを開いた方に、まず伝えたいことがあります。

行きたくないと思うのは、ふつうのことです。わがままではありません。

私は製造業で35年働いてきました。転職はしていませんが、社内で7回異動しています。大きな節目を挙げると、SMTのオペレーターから始まり、生産技術、辞令で法人営業、また生産技術に戻り、いまは課長です。

そしていまは、部下に異動を伝える側にもいます。

異動された側と、伝える側。両方の立場から、この記事を書きます。

先に結論です。

  • 「断れるか」を考える前に、何が嫌なのかを分けてみてください
  • 異動は、損ばかりではありません。私は異動を重ねて、それを実感しています
  • ただし、介護や体調など本当に無理な事情があるなら、遠慮せず相談してください。そこを我慢する必要はありません

「異動しろ」と押しつけたいわけではありません。どう受け止めるかを決めるのはあなたです。そのための材料として読んでください。


この記事の目次(クリックでジャンプ)

「異動したくない」の中身を分けてみる

「異動したくない」とひとことで言っても、中身は人によって違います。よくあるのは、次のような理由です。

慣れた仕事を手放したくない

何年もかけて覚えた仕事です。手順も、段取りも、どこでつまずくかも分かっている。それを一から覚え直すのは、しんどいものです。

いまの人間関係を失いたくない

気の合う同僚や、頼れる先輩がいる。逆に、異動先にどんな人がいるか分からない。仕事そのものより、こちらのほうが不安だという方も多いと思います。

評価がリセットされそうで怖い

いまの部署では「できる人」と見られている。でも、新しい部署では新人と同じです。積み上げてきたものが消えるように感じます。

何が起きるか分からない

いちばん大きいのは、これかもしれません。知らない場所に行く不安です。

家庭や体の事情

家族の介護、子どもの事情、自分の体調。これは気持ちの問題ではなく、生活の問題です。


こうして分けてみると、「気持ちの不安」と「生活の事情」は別物だと分かります。

  • 気持ちの不安(慣れ・人間関係・評価・未知への不安)は、行ってみると小さくなることがあります
  • 生活の事情(介護・体調など)は、行っても小さくなりません。こちらは会社に相談すべき話です

自分の「行きたくない」がどちらなのか。まずそこを見てください。


異動を伝える側として、私が部下に話すこと

いま私は課長として、部下に異動を伝えることがあります。嫌がる部下もいます。それはそうだと思います。

そのとき私が話すのは、2つです。

1. その異動の「先」の話

異動は、それだけで終わりではありません。この異動のあと、どんなことができるようになるのか。今後のことを話します。

異動の話を聞いた直後は、いまの仕事を失うことが目につきやすいものです。でも、異動はその先につながっています。そこを一緒に考えたいと思っています。

2. 私自身の異動の経験

もうひとつは、私の経験です。とくに、次の章で書く営業への異動の話をします。

説得したいわけではありません。「異動して、こういうことがあった」という一人の実例として話しています。

部下約40人を評価する立場になって思うのは、人を変えることはできないということです。異動をどう受け止めるかは、最後は本人が決めることです。私にできるのは、材料を渡すことだけです。

(面談で部下にどう伝えているかは、指示待ちの部下は変えられる?部下約40人を評価する課長が面談で伝えることにも書いています)


私のいちばん大きな異動:技術から営業へ

これまでの異動のうち、いちばん「ほかの人と違う経験」になったのは、営業への異動でした。

私は生産技術を通算20年やっています。その途中に、辞令で法人営業を5年やりました。そのあと生産技術に戻り、いまの課長の仕事につながっています。

辞令を聞いたときの気持ち

営業は、自分で希望したものではありません。辞令でした。そのときに言われたのが、この言葉です。

「今後のために、営業へ行って経験を積め」

最初から3年の予定でした。結果的には5年になりましたが、キャリアの一部として組まれた異動だったわけです。

辞令を聞いたときの正直な気持ちは、こうでした。

良い経験になると思った。でも、全く違う分野なので不安だった。

嫌だったわけではありません。でも、不安はありました。技術のことなら分かる。でも営業は、まったく知らない世界です。

行ってみて分かったこと

営業に出て、まずぶつかったのは言葉でした。

製造や技術の現場で使う言葉と、営業やお客様の世界で使う言葉が違います。言葉が違い、最初は話が通じにくかったです。

(言葉の壁については、技術営業はやめとけ?きつかったのは技術ではなく言葉でしたにくわしく書いています)

それでも、お客様と直接話すうちに、お客様が何を考えているのかが分かるようになりました。

そして、いちばん大きかったのはこれです。

相手の立場で考えられるようになった。

技術にいたころの私は、技術の側からしか物ごとを見ていませんでした。営業に出て、はじめて「向こう側」から見る目ができました。

いまの課長の仕事に、そのまま生きている

いま私は課長として現場を見ています。そこで考えるのは、お客様から見て、現場で何ができるかです。

現場と技術しか知らなかったら、たぶん「自分たちが正しい」という見方しかできなかったと思います。営業の5年があったから、お客様の目でも見られます。

異動してよかったことを一つ挙げるなら、これです。

異動を重ねて、いろんな視座(立場からの見方)を持てるようになったこと。

私が「行きたくない異動」を持っていない理由

これまでの異動で、行きたくなかった異動は、特にありません。

理由は2つです。

  • 成長できるから
  • ほかの人と違う経験ができるから

辞令で動いた異動だけではありません。自分から動いた異動もあります。交代勤務をしていたころ、家庭の事情で自分から異動願を出し、生産技術に移りました(そのときのことは三交代はやめとけ?8年やった課長が答える「何歳まで」に書いています)。

(生産技術の仕事そのものについては、生産技術はきつい?やめとけ?20年やった現役課長の本音に書いています)


異動は断れる?法律の話は、ここだけ押さえる

ここからは、「それでも断りたい」という方のための話です。法律の細かい解説はしません。大まかな考え方だけ書きます。

厚生労働省の「確かめよう労働条件」というサイトでは、配置転換(異動)についての考え方と裁判例が紹介されています。要点は次のとおりです。

職種や勤務地が限られていなければ、原則として命じられる

雇用契約で勤務地や職種が限定されていない場合には、会社は一人ひとりの同意がなくても、転勤や配置転換を命じることができる、とされています。

ただし、権利の濫用(らんよう)になる場合がある

一方で、次のような場合は、異動の命令が権利の濫用になりうる、とされています。

  • 業務上の必要性がない
  • 不当な動機・目的がある
  • 働く人に、通常がまんすべき程度を著しく超える不利益を負わせる

職種を限る約束がある場合

職種や業務の内容を限定する合意がある場合、会社は本人の同意なしに、その合意に反する配置転換を命じることはできない、とした最高裁の判断(2024年)があります。

出典:厚生労働省「確かめよう労働条件」配置転換に関する裁判例

⚠️ どれにあたるかは、個別の事情しだいです。ネットの記事だけで「自分は断れる」「断れない」と決めないでください。迷ったら、都道府県の労働局などの相談窓口や、専門家に相談してください。

内示の段階で相談する

正式な辞令の前に、「内示」として伝えられることがよくあります。会社によっては、正式な辞令の前のほうが、事情を聞いてもらえる余地があります。

会社に伝えるときは、気持ちより事実(家族の事情・体調など)のほうが伝わりやすいものです。

介護や体調のことは、言いにくいかもしれません。でも、言わなければ会社は知りようがありません。

相談したからといって、必ず希望が通るわけではありません。それでも、黙って抱え込むよりはずっといいと思います。


それでも「辞めたい」と思ったら

異動が納得いかず、「それなら辞める」と考える方もいると思います。

辞めることが悪いとは思いません。ただ、一つだけお願いがあります。

勢いで決めないでください。

内示を聞いた直後は、気持ちがいちばん揺れているときです。そのときの判断が、あとから見ても正しいとは限りません。

  • 何が嫌なのか(最初の章で分けたもの)を、紙に書き出す
  • それが異動先に行っても続くものか、行けば小さくなるものかを考える
  • 信頼できる人に話してみる

それでも「やっぱり辞めたい」と思うなら、それはもう勢いではありません。あなたが考えて出した答えです。

なお、異動の目的そのものがおかしいと感じる場合は、上の「異動は断れる?」の章と、相談窓口のことも思い出してください。

(管理職への打診で悩んでいる方は、管理職になりたくない|断っている間も推薦は進んでいますも参考になるかもしれません)

(辞めたいと伝えて引き止められたときの考え方は、退職の引き止めに迷ったら|辞めたいと言われる側の課長の本音は2つに書きました)


よくある質問

Q. 異動したくないと言うのは、わがままですか?

わがままではないと、私は思います。不安に思うのは自然なことです。

伝えるときは、何が、なぜ難しいのかを具体的に話すと、わがままではなく「相談」になります。

Q. 異動を断ると、出世に響きますか?

会社によります。一概には言えません。

参考までに、私が部下を評価するときに見ているのは、積極性・分析・全体を考えることです。ただ、評価のしかたは会社によって違います。

(評価する側が何を見ているかは、「評価されない仕事」の正体|部下約40人を評価する課長の本音にくわしく書いています)

Q. 望まない異動で、不安が消えません

最初はそれでいいと思います。無理に前向きになる必要はありません。

私も営業に出たときは、最初は言葉が分からず不安でした。それでも、言葉が分かり、お客様の考えが分かるようになっていきました。

Q. 何度も異動させられるのは、評価が低いからですか?

そうとは限りません。異動の理由は会社や時期によってさまざまです。気になるなら、上司に聞いてみてください。

Q. 異動先の上司が年下で、気が重いです

私も生産技術にいたころ、年下の上司の下で働いたことがあります。最初は嫌でした。でも、支えようと思いました。

なぜ支えようと思ったのか、何をしたのかは、年下上司がやりにくい人へ|最初は嫌だった課長が「支える側」に回った理由にくわしく書いています。

(班長などの立場で悩んでいる方は、工場の班長はきつい?2回やって、いま班長を任せる課長の本音にも書いています)


まとめ:異動は「何を失うか」だけでなく「何が増えるか」でも見てみる

  • 「異動したくない」と思うのは、ふつうのこと。わがままではない
  • まず、何が嫌なのかを分ける。気持ちの不安か、生活の事情か
  • 介護や体調など本当に無理な事情は、内示の段階で、事実として相談する
  • 断れるかどうかは個別の事情しだい。迷ったら労働局などの相談窓口や専門家へ
  • 辞めるにしても、勢いでは決めない

営業への異動は不安もありましたが、いまの課長の仕事に生きています。

異動で失うものは、たしかにあります。でも、増えるものもあります。私の場合、それは「いろんな立場からの見方」でした。

あなたの異動がどうなるかは分かりません。決める前に、増えるものがないかも一度見てみてください。

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この記事を書いた人

現場・生産技術・法人営業・マネジメントを経験。
机上の空論ではなく「現場で役立つ知見」を発信。
・昇格したばかりの課長としての奮闘記
・現場改善・AI活用の実践例
・人間関係・キャリアの悩みへの具体的な解決策
・介護と仕事の両立経験からのリアルなヒント

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